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執筆者の写真Nagashima Kazuhiro

掌側板

更新日:3月16日

掌側から見た手の靱帯は、こんな感じです。

で、青く色をつけたところが手掌腱膜です。手掌腱膜は皮膚との接続が強くて、長掌筋が収縮すると皮膚を中枢側に引いてかどに皮膚が遠位に滑るのを防ぎます。たぶん屈曲側に皮膚を引くことになるので、屈曲の力源にもなっているのでは無いかと思います。 この腱膜が何らかの要因で硬くなればMPは屈曲を阻害されるでしょうね。



で、手掌腱膜を省いた図がこちら。

こんな感じで、この青いところは、浅横中手靱帯。これも取っちゃいます。


すると、輪状靱帯が全部見えてきますね。

青いところが輪状靱帯です。MPのところでは深指屈筋と浅指屈筋がとおってます。


そして、この輪状靱帯を取ると、掌側板が見えやすくなります。

青いところが掌側板。


掌側板の働きは、伸展時に関節の過伸展を防ぐことと、屈曲時に皮膚のたるみを出さないようにしたりします。掌側板は手指の屈曲時に折りたたまれたようになります。

手の炎症で浮腫が持続した場合など上記に書いた靱帯どうしの滑りを失ったり、掌側板その物が変性して硬くなってしまったり。

或いは掌側板と骨との間に浮腫が残存してしまったりすると指の屈曲時につっかえてしまって屈曲制限を起こすことがあります。

ですので、手の浮腫が存在している時は、表層から深層にしっかり浮腫の軽減を図ることや、浮腫後の手が屈曲制限を起こした場合など、伸筋腱の癒着を想定するだけではなく、掌側の軟部組織の状態を確認して必要なら十分アプローチしていく必要があります。


例えば、MPの掌側板周囲の組織が硬くなり屈曲しにくくなった場合、その堅さの感覚情報は手指の屈曲を作る為の運動プログラムを変化させる、或いはいくつかある手指屈曲プログラムパターンのなかからMPを屈曲させるというプログラム選択の優先順位を低くします。

その際、例えば手関節背屈で長掌筋を収縮させて手掌腱膜を中枢に引き寄せる力源としたり虫様筋の出力によるMP屈曲を起こさせず、むしろMP伸展位をつくりつつ浅指屈筋と深指屈筋でIP関節を強力に屈曲させるような運動プログラム出力の優先順位が上がってしまうのかもしれません。



この図はリンク集にも置いてあります、船戸和弥先生のホームページからです。

08の掌側靱帯がさらに掌側で掌側板となります。


2024/03/16 追記

この記事、何だかよく検索に当たって読まれているようです。

2022年に手の本を買ったら、そこにもわかりやすい図があったので、少しだけ紹介した記事があります。


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