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執筆者の写真Nagashima Kazuhiro

医療ビジネスとリハビリテーションの未来

更新日:3 日前

日本の医療は国民皆保険制度によって支えられています。

皆保険制度というのは、ある意味ギャンブルのようなものだというと理解しやすいかもしれません。国民は、皆何かしらの健康保険に加入します。お金を賭けるわけです。この賭けで支払いを受け取ることができる場合というのは、病気になるというフラグが立った場合です。

ギャンブルですから、胴元が稼ぎが最も高く、国民の大半が賭に負けて金銭的な損をするという構図が最も適正な形です。国民は、金銭的な損の代わりに、病気になったらいつでも安価に治療を受けることができるという安心感を得ることができるわけです。

国民がそれぞれに賭け金を支払っているわけですので、胴元の財源というのは有限です。それを様々な医療費に分配しているわけです。

この制度を維持するためには、節約が大切な課題となります。

病院というのは、胴元では無いのですが、ギャンブルで例えるなら換金所的な役割を担っています。

この病院の働き方は、医療制度というものに支配されているわけです。

そういった意味では、病院で行われている医療を提供する側も追い込まれていたりします。

救急疾患を地域の中核で行う病院を「急性期病院」と呼びます。

急性期病院では、患者さんの入院期間が長引けば長引くほど病院収入が減るシステムになっています。病院としては、早く退院させるか、次の「回復期病院」とか「慢性期病院」に転院させなければ、経営が成り立ちません。患者さんの回転率を上げなければならないわけです。

回復期の病院も同様です。保険制度によって期間が区切られているので、回転率が重要になるのは急性期病院と変わりません。

なんだか飲食業みたいでしょ。(^_^;)


こんな中、医師や看護師を始め、リハビリテーションに関わるスタッフも短期間に診療、治療する患者数も増え、それに伴う必要な書類作成も年々増えてきたりして疲弊してきます。

病院あたりの医療スタッフ数は基準値ギリギリでないと収益が上がらない構造になっていますので、少ないスタッフでめまぐるしく入れ替わる患者さんの対応に追われる状況です。

日本の医療制度を決めているのは厚生労働省と、その上に立つ財務省です。厚生労働省と財務省は、医療費、介護費を削減していくことばかりを考えているように見えます。

このような医療で、満足のいく治療が期待できるのでしょうか。


現在、日本の皆保険制度においては、様々な研究者や医師から医療の質の低下が指摘されるところです。

では皆保険制度を持たないアメリカはどうでしょう?

アメリカにおいては、日本の医療と比較し、診察にかける時間、その記録などは充実しているようです。これは、医療訴訟が日本より起きやすいことによるのかもしれないですけれど。

人口あたりの看護者数も日本より多いようですね。

アメリカにも医療保険はありますが、民間保険です。保険会社の契約金は高く、おおよそ3~4割程度の人たちが無保険者みたいです。

そのため、アメリカでは医療費負担による破産も多いと聞きます。


なぜ、医療というのはこんなにお金がかかるものになったのでしょう?

日本の医療では、どうやら、入院医療費と外来医療費がほぼ同額に近いと云われています。入院費が高額なのはなんとなく理解できますが、外来医療費が同じぐらいだって云うのは結構びっくりしますよね。

この外来医療費を押し上げている要因に、薬剤費が上げられるのです。

2020年には国民医療費42兆967億円のうち、薬剤費は9兆5600億円で、薬剤費比率は22.7パーセントだそうです。

結構な割合ですよね。


なぜそんなことになったのかを少し近代医療の歴史から考えてみましょう。

ただし、ここから先は眉に充分つばをつけて読んでください。

思うところがあれば、各自でしっかり調べていただければと思います。


アメリカでは19世紀末まで、民間医療が主であったようです。医師は自分が名乗れば医師になることができ、勝手に医療行為ができたようです。そのため、どの医師のどのような医療を受けるのかは患者自身の選択によるもので、自由競争が起きていて治療費が莫大になることは無かったようです。

このような状況は1910年に変化が起きます。

1901年、ロックフェラー財団のロックフェラー医学研究所(おそらく現在のロックフェラー大学)が設立され、それまで民間医療で用いられていた様々な薬を分析し、医薬品をつくり、特許を取ります。

そして、1910年、ロックフェラー財団のフレデリック・ゲイツがロックフェラー医学研究所のアブラハム・フレクスナー(兄弟)に命じて、ロックフェラーの関与を隠すためにわざわざカーネギー財団を迂回して、あるレポートを発表させます。このレポートはアメリカの医学校をすべて調査し、大学の格付けをしたもので、ロックフェラーのつくる薬剤を用いることを推奨しない、今までの民間医療で用いられる手法を推奨する大学を信用のおけない大学と非難し、排除する目的でつくられたものです。

そして、ロックフェラー財団の意にかなった大学には財団から研究資金が支給され、そういった経過でロックフェラー財団が近代医学の乗っ取りに成功するわけです。

ちなみに、ファイザー製薬はロックフェラー財団とつながりがあるとされていたりするようですね。

このように、近代医療というのは、資本主義という枠組みの中で発展し、財閥のために産業化されているといえます。


これが、現在の医療費高騰の原因になっているのでは無いかと想像することはできると思うのですね。


ここから先は少し飛躍します。

日本の国民皆保険制度もこうした資本主義という枠の中にあるわけです。ですので、先に書いたように日本の医療スタッフは常に人員不足で、さらに患者さんの回転率を上げるようにデザインされているわけです。

このデザインをつくるのは厚生労働省と財務省ということになりますね。そういえば、厚労省の天下り先の一つである「病院評価機構」は、その意図があるかどうかは別としても、先に書いたロックフェラー財団がカーネギー財団を迂回して出したレポートと同じような働きをすることが可能な団体ですよね。

そう言ったことを鑑みて考えると今後、どのようになっていくのかがおぼろげに見えてくるかと思うのです。

人員はさらに縮小される方向に向かうでしょう。リハビリテーションにおいては、現在はまだ出来高制に近いのではありますが、将来的には「まるめ」といわれる患者数に対してセラピストの人員を決定する手法に飲み込まれる可能性が非常に高いと思うのです。

そこでは患者さんの個別性を見ると云うことは時間がかかるので排除される傾向を持ってくるだろうと思います。研究なども結局そういった研究が注目を集めるような誘導は起こりえることと思います。詳細に見れば、実際にそういうことが起こっていることに気がつくこともあるかもしれません。

いずれにしても、現在病院で仕事をされておられるPT・OT・STは、今後どのように医療に向き合っていくのかを考え、何かを選択していく必要が出てくるかもしれないですね。


こんなことを書いていたら、ヤバいやつだと言われそう・・・

(^_^;)


話がそれますが、それでも日本の医療は他国に比べて個人出費は安く設定されています。これは、国民のほぼすべてが支払っている健康保険料によって支えられています。この国民皆保険制度に外国人がただ乗りしてくるのは本当に困った話なのです。

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