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執筆者の写真Nagashima Kazuhiro

右膝痛と姿勢制御


体の調子が悪くなるとご利用に来られる方がおられます。 ずいぶん前に、転倒して左の上腕を骨折された方です。一番最初は、ご利用者さんからのご紹介で、肩が上がらないと言うことでご利用されておられました。大分肩は動きやすくなって、それからは、先に書いたように、体の調子が悪くなると来られる感じでご利用されておられるのです。 先日、連絡があって右の膝がなんだかおかしいと。痛みというわけでは無いけれど、違和感があって力が入りにくいとの連絡でした。 来ていただくと、歩行自体は普通に歩かれておられる様子です。 腰はずっと違和感があって、右が痛くなりやすいとのお話もされておられました。 前方から姿勢を見ると、左肩甲帯が後下方に落ち込んでいるように見えます。これをリトラクションと呼んだりします。右の肩甲帯が高いのか左の肩甲帯が落ち込んでいるのかという判断は難しい物があるのですが、見た印象は左の方がなんとなく固定性が強く異常な印象を受けます。病歴から言っても、左に根本的な問題がある可能性を考えた方が自然かと思います。 左の肩甲帯リトラクション~左体幹の短縮は、左下肢荷重時に抗重力伸展活動が起きにくいと言った状況を読み取ることが可能かと思います。とすれば、立位保持、歩行時の抗重力伸展活動は、左より右に優位にしなくてはなりません。この持続する非対称性は本来在るべきp-APAsといったコアスタビリティの要素に持続する非対称性を作るため、足りない部分を表層の筋群に依存していると推論をしていきます。 それが右腰部の痛みや違和感につながっていると考えたわけです。 そして、背部に触れてみると、やはり右の脊柱起立筋群はやや粘弾性に乏しく、胸郭と骨盤の間の運動性・可動性を軽く阻害している印象です。その状態で膝に負担がかかってきていたのかもしれないですよね。 まだ痛みでは無く、違和感だとおっしゃっておられたので、明確な損傷が存在していると言うより軟部組織に負担がかかって、Fasciaの滑走などが阻害されているのかも。 ということで、アプローチの開始は手っ取り早く変化を起こすことができそうな部位でしたので、右の腰部の脊柱起立筋群の粘弾性を作っておきます。 その後、右側臥位で左肩甲帯の動きを誘導しつつ、短縮している広背筋の活動を促し、長さを作っていきました。 座位に戻ると、左肩甲帯のリトラクションが少し改善してきていたので、テーブルに手を置いていただいて肩甲帯の左右差に配慮しつつ、骨盤の動きを誘導。 また、左右差にあまり差が無くなったところで、左右への重心移動と体幹の荷重側の体幹抗重力伸展活動を経験していただくようにしました。その後端座位で、膝周囲、特に膝後面の膝下筋の粘弾性を作り、膝伸展位になる際にフリクションロスとなったり、過剰なフィードバックが膝伸展の抑制にならないように配慮していきます。 その後、やっと立位で足部の感覚入力と姿勢制御出力の調整にアプローチ。その後は、腰部の違和感・痛み、膝の違和感などはかなり減少したようで、足が軽くなったと喜んでおられました。 重かったんですね。右足。 お帰りの際は、左広背筋の可動性を出す、また、左肋間の動きを出すための体操のコツなどをお伝えしておきました。 多分これでしばらく大丈夫なはずだと思ってます。 あ、蛇足ではありますが、これはこの人の体の使い方の特徴と、取ってこられた姿勢や動きに対する彼女の個性的な戦略に基づいているので、すべての人がこういう事だと言うことではありませんよ。 ただ、膝が違和感を持つという訴えの中には、それにつながる様々な原因とか要因があることは多いのだろうとは思いますけれど。 (*´▽`*)




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