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執筆者の写真Nagashima Kazuhiro

合理的なアプローチ手段を考えると・・・



意識と随意運動の関連からいろいろ考えてみました。

環境情報と身体情報が側頭-頭頂連合野で統合され前頭葉の高次運動領域(前頭前野外側部)に送られると運動プログラムが作られます。おそらくこのプログラムはまだ多様性がある複数のプログラムが存在しているのではないかと思います。

側頭-頭頂連合野からの出力は前頭前野内側部や眼窩部にも送られ、環境に適していて最も報酬が多いプランを高次運動野の中から選択していくことになります。そして、行動や運動のパターンが選択されて運動出力になるわけですが、パターンを選択し実行されるまでのプロセスは無意識下で行われた意図の決定です。

決定された意図が意識に上るためには高次運動野で決定された運動出力のプログラムが脳全体に情報として伝達されないといけないことになります。

おそらく上縦束は前頭連合野の情報を頭頂葉や側頭葉に広げる役割があるものと思います。

そして、前頭連合野の情報が脳全体に広がったときに運動のプログラムを意識に上らせることが可能になるわけです。

このことを踏まえて課題指向型アプローチを考えると、一定の課題を意識するわけですから、働きかけるのは意識にのぼっている意図に対してです。

残念ながら意識された意図(意思)の出力が処理するのは、あらかじめ用意されている高次運動野のいくつかの運動プログラムから特定の出力を選択するのだと推測をしています。ですので、意図(意思)はプログラム自体の多様性をつくるものでは無いと思います。

もし、課題で患者さんのプログラムの多様性が増えたように感じるのであれば、それは元来あるプログラムが選択されたに過ぎません。自然回復する部分であった可能性さえあります。


プログラムの多様性を生むためには外的環境と身体環境の多様性のある情報が、側頭-頭頂連合野で処理されて前頭連合野に送られる必要があります。

ほら、外的環境や身体環境の制限が強ければ作られる運動プログラムも限られたものになるでしょうし、その限られたプログラムの中からしか前頭前野腹足部や眼窩部がプランを選択できないとすればステレオタイプな出力しか得ることができなくなりますから。


多分医師や研究者とリハビリに関わるセラピストの違いは、どの段階にアプローチを試みるのか或いは観察し解釈するのかと言うことであって、セラピストは意思にもアプローチできるのですが、徒手的に身体環境に変化を与えて頭頂連合野に入る情報を変化させることもできるのです。

それは無意識下の運動プログラムの生成に関わる部分であり、数値化や段階付けなどの評価が困難な部分です。

数値化や段階付けができないから重要では無い部分かと言えば、やはり重要なところで、きちんとアプローチしなくてはならないところであろうと思います。

多様性のあるプログラムを作ることのできる土壌を育て、それを経験してもらうことは徒手的に可能です。その後で、意識が多様なプラグラムの中から無意識に適切なものを選択するように課題を仕掛けるような手順が最も合理的なアプローチなのではないかと思うのです。

まだ試行錯誤中ではありますが。


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