病院のスタッフから少しお話を伺ったのです。
とある脳梗塞の患者さんの上肢機能について、OTが「廃用手」だと評価しているとか・・・。
廃用手ってなんなんだろうと思うのです。
廃用手の意味するところは、生涯にわたって使うことができないという手を廃用手と呼ぶわけです。
1年後。5年後。10年後。運動麻痺は回復せず、使うことは二度とできない?
ん???
廃用手と診断したOTさんは、5年後~10年後の予後予測に基づいた診断を下したわけです。
そんなことが可能でしょうか?
率直に言ってできるわけ有りません。
本来、廃用手と言ってしまうことは、障害の「診断」に当たります(タブン)。
セラピストは診断をしてはいけないのですけれどね(タブン)。(^_^;)
それをいったん置いておいても、少なくとも、5年後~10年後の予後予測をするためには、充分な脳生理学的・身体機能的な基礎知識と、同じ患者さんを5年~10年にわたってフォローし続けて運動機能と動作能力の経過をなん症例も確認して、自分なりの臨床推論を打ち立てることができる場合に予測的な判断が可能になるはずなのです。
それは、少なくとも今の保険医療制度では無理です。時期によって分断され、期間を制限された今の制度では保険医療下で得ることのできる臨床経験には限界があるのです。
だから、判断はできないはずなのです。
少なくとも、現在の脳科学は、脳の可塑性はあるとしています。回復の可能性が「ゼロで在る」という判断は、科学的に否定できるはずなのです。
廃用手だと言っている暇があるのであれば、私なら、少しでも機能が変化するようにアプローチを考えて行きますけれどね。(*^_^*)
手(上肢)に限りませんが、身体は脳にとってはデバイスだと考える事ができます。
デバイスはそこに存在しているのです。
脳にそのデバイスからの情報を届けることができれば脳はなにかしらの変化を起こし、脳は世界に関わる為にそのデバイスを使用することができるはずなのです。
脳梗塞のリハビリテーションはいまだ完成されたものではありません。
ですので、様々な治療コンセプトが存在していて、その効果の検証は日々検討されているわけです。
現在の時点で言えば、脳科学とともに発展途上にあるのだと思うのです。
発展途上にある以上、脳梗塞などのリハビリテーションで臨床推論に基づく試行錯誤は必用な事だと思います。
一生使うことができない、変化は起きないという判断は、できるだけしないことが大切なのではないかと、思ったりするのです。
(*^_^*)
2023/05/28 追記です。
Facebookで紹介されていた記事です。
これでさらに「廃用手」という診断(判断?)はしにくくなりますね❗
(*^_^*)
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